Last Updated on 2025年6月18日 by 教育コンシェルジュ
高校生の不登校に直面すると、母親として「どう支えればいいのか」と不安や戸惑いを感じるものです。特に高校は義務教育ではないこともあり、「進路はどうなるの?」「卒業できるの?」と先の見えない不安に押しつぶされそうになることもあるでしょう。
でも、安心してください。今の日本には、高校不登校の子どもたちを支えるための制度や選択肢が数多く用意されています。このページでは、不登校になった高校生のために、どんな支援制度や進路の道があるのか、母親ができるサポートとは何かを、経験豊富な教育アドバイザーの視点からわかりやすくご紹介します。
高校生の不登校が増えている背景と親の悩み
不登校の現状と増加する背景
近年、高校生の不登校が増加傾向にあります。文部科学省の調査では、年間5万人以上の高校生が不登校状態にあると報告されています。背景には、人間関係のトラブル、学業への不安、精神的な不調などが複雑に絡み合っています。特に思春期の高校生は、内面での葛藤が多く、心の負担を外に出せずに一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。
学校に行けなくなった子どもに対して、家庭は「どうすればよいのか」と戸惑うことも多いでしょう。ですが、まずは子どもの声に耳を傾け、焦らず見守る姿勢が求められます。
母親が感じる心の負担と孤独
子どもが不登校になると、母親自身も強いプレッシャーや孤独感を抱えがちです。「自分の育て方が悪かったのか」「将来はどうなるのか」と自責の念にかられる人も少なくありません。
また、周囲に相談しにくくなることで、家庭内に閉じこもりがちになり、精神的に追い込まれてしまうケースも見られます。そんなときは、母親自身も支援を受けることが大切です。家族会や支援団体のカウンセリングを活用し、心の負担を少しずつ軽くしていきましょう。
不登校による進路不安とその影響
不登校になると「このまま高校を卒業できるのか」「進学や就職はどうなるのか」といった進路への不安が大きくなります。しかし現在は、多様な学び直しの選択肢が整備されています。
通信制高校やフリースクール、また高卒認定試験など、本人のペースに合わせた学びが可能な環境が広がっています。焦る必要はありません。選択肢の一つひとつを理解しながら、今できることから一歩ずつ考えていきましょう。
家庭でできる初期対応とは
不登校が始まったばかりの時期には、家庭での対応が子どもの今後に大きな影響を与えます。まずは、子どもの話を否定せずに聴くことが大切です。責めたり、無理に学校へ戻すような言動は逆効果になることが多くあります。
また、生活リズムが崩れがちなので、起床時間や食事のタイミングを整える工夫も効果的です。無理のない範囲で家庭内に安心できる居場所を作ることで、子どもの気持ちも徐々に落ち着いていきます。
高校の不登校支援制度とは?制度と利用方法を知ろう
学校内での支援体制と相談窓口
不登校の生徒を支援するために、多くの高校ではスクールカウンセラーや養護教諭、担任による相談体制を整えています。早い段階での相談が、本人にも保護者にも安心をもたらす第一歩になります。
また、一部の高校には特別支援コーディネーターが在籍しており、個別の支援計画の作成をサポートしてくれることもあります。相談は「何を話せばいいか分からない」状態でも構いません。まずは「話を聞いてもらう」だけでも、状況は大きく変わる可能性があります。
通信制・定時制高校への転籍支援
現在の学校生活が難しい場合には、通信制高校や定時制高校への転籍も一つの選択肢です。これらの学校では、登校日数が少なく、学習の自由度が高いという特徴があります。
また、週1回〜週3回の登校で単位取得が可能なため、心身の調子を見ながら無理なく学び続けられます。多くの通信制高校では、学習支援センターを設け、個別相談や学習サポートも行っているので、学力面の不安も軽減できます。
教育委員会・自治体のサポート
各地域の教育委員会では、不登校支援のための相談窓口や家庭訪問支援、適応指導教室(教育支援センター)などを提供しています。これらは公的支援として無料または低価格で利用可能な場合が多く、経済的な負担も軽減されます。
特に適応指導教室は、学校以外の学びの場として、安心して過ごせる空間や個別学習支援を提供しており、社会性の回復にも役立ちます。利用には学校や教育委員会を通じての申し込みが必要なので、事前に情報を集めておくと安心です。
心理カウンセリングとスクールカウンセラーの活用
不登校の背景には、心の問題や精神的な負担があることも多いため、心理的なケアが欠かせません。学校に在籍しているスクールカウンセラーのほか、外部の臨床心理士や不登校支援の専門カウンセラーに相談することも検討してみましょう。
カウンセリングでは、子どもの心の状態を把握し、保護者としてどのように関わればよいかのヒントも得られます。「話すだけで気持ちが整理できた」という声も多く、定期的に利用することで徐々に子どもの表情が明るくなるケースもあります。
高校不登校の子に合った学びの選択肢とは
通信制高校の特長とメリット
通信制高校は、自宅での学習を中心にしながら、必要な単位を取得して卒業を目指すことができる制度です。登校の頻度は学校によって異なりますが、月1回〜週数回の登校で済むことが多く、体調や気持ちの波に合わせて通えるのが大きなメリットです。
また、学習内容が個別にカスタマイズ可能で、進度も自由に設定できるため、「自分のペースで無理なく学びたい」と考える不登校の生徒にとって最適な選択肢のひとつです。
一部の通信制高校では、大学進学を視野に入れたカリキュラムを提供していたり、タブレットや動画授業などのICT教材が充実している学校もあります。
サポート校・フリースクールの役割
通信制高校と提携しているサポート校や、独立型のフリースクールも、不登校の子どもにとって重要な学びの場です。これらの学校では、勉強のサポートだけでなく、居場所としての機能も担っています。
例えば、少人数制で安心して通える環境が整っていたり、心理的サポートやコミュニケーション支援が充実している施設もあります。また、イベントや交流の機会を通じて「自分に自信がついた」という声も多く聞かれます。
「学校に戻るのはまだ不安だけど、人とつながりたい」といった思いを持つお子さんには、こうした選択肢が大きな支えとなるでしょう。
オンライン学習・個別指導型の教育支援
最近では、オンラインを活用した教育支援も注目を集めています。自宅で安心して学べるだけでなく、1対1の個別指導や双方向型の授業によって、より細やかなフォローが可能になります。
特に、決まった時間にログインして学ぶ「ライブ授業型」や、自分の好きな時間に取り組める「オンデマンド型」など、学習スタイルの選択肢も広がっています。
保護者にとっても、進捗状況がオンラインで確認できる仕組みが整っていると安心です。費用や指導内容を比較しながら、信頼できるサービスを選ぶことが大切です。
就労支援や高卒認定という選択肢
「今は学校よりも別の道を歩みたい」と考えるお子さんには、就労支援や高卒認定試験(旧・大検)といった選択肢もあります。特に、高卒認定を取得すれば、大学・短大・専門学校への進学が可能となります。
また、自治体によっては若者の就労支援プログラムや職業訓練制度が整備されており、学びと仕事を両立する仕組みも増えています。本人の意欲と特性を尊重しながら、未来につながる道を探していくことが何より大切です。
家庭でできるサポート|母親に求められる役割
子どもの話を聴く姿勢と信頼関係の再構築
不登校の子どもは、学校での出来事や感情をうまく言葉にできないことが多くあります。そんな時こそ、「話したくなったときに話せる空気」を家庭で作ってあげることが大切です。
「今日はどんな一日だった?」などの問いかけよりも、「ここにいていいんだよ」という安心感を言葉や態度で伝えることが、信頼関係の再構築につながります。
焦らず、否定せず、見守る。それが子どもにとって何よりの支えになるのです。
日常生活リズムのサポート方法
不登校が続くと、生活リズムが乱れがちになります。特に、昼夜逆転や偏った食生活が続くと、心身のバランスにも影響します。
まずは、起床・就寝時間や食事のタイミングを整えることから始めましょう。ルールを押し付けるのではなく、親子で一緒に「どう過ごすと気持ちが楽か」を考える姿勢が大切です。
少しずつ日中の活動量を増やす工夫として、軽い運動や散歩、趣味の時間の確保なども効果的です。
学び直しの環境づくり
学習への不安やトラウマを抱えている場合、いきなり教科書を開くのは難しいかもしれません。そんな時は、本人の関心がある分野から学びを再開するのも一つの方法です。
例えば、好きなアニメの原作を読むことや、ゲームに関する知識を調べることも「学び直しの一歩」となります。家庭では、結果を求めず、プロセスを褒める姿勢が子どもを前向きにしてくれます。
母親自身が相談・支援を受けることの重要性
子どもを支える立場にある母親自身が、誰かに支えてもらうことも必要です。不登校支援の家族会やSNSのオンラインコミュニティでは、同じ境遇の保護者同士が悩みを共有し合うことができます。
「ひとりじゃない」と実感できるだけで、心の負担は軽くなります。
さらに、自治体の相談窓口や支援団体での個別相談なども積極的に活用しながら、母親自身のメンタルケアにも目を向けることが、家族全体の安定につながります。
不登校からの進路と未来|希望を見つけるために
高校卒業のための複数のルート
高校を卒業するには、全日制以外にも通信制・定時制高校、サポート校との併用、または高卒認定試験による大学進学など、さまざまなルートがあります。
今の状況だけで未来を決めつけるのではなく、「自分に合った方法で学べる時代」であることを伝えてあげてください。
それぞれの制度には特長や条件があるため、学校や支援機関への事前相談が重要です。
大学進学・専門学校・就職の可能性
高校卒業後の進路も多様化しています。通信制高校を卒業して難関大学へ進学する生徒も珍しくありませんし、専門的なスキルを学べる専門学校も実践的な進路の一つです。
また、インターンシップや職業体験を通じて、「働く」という選択肢を具体的にイメージできるようになると、自信を持って進路を考えるきっかけになります。
不登校経験が活きる進路選択
一度不登校を経験した子どもは、自分の弱さや限界を知り、それを乗り越える力を持つようになることが多くあります。
その経験は、面接や志望理由書の中で、**「人として成長したこと」**として評価されることもあります。大切なのは、その経験をどう言語化し、どう活かすかです。
親子で一緒にそのプロセスを振り返りながら、進路をポジティブにとらえる視点を持てるようにしていきましょう。
親子で一緒に歩むためのヒント
不登校の子どもにとって、何よりの支えは「味方でいてくれる親」の存在です。正解はありませんが、一緒に悩み、一緒に前を向こうとする姿勢こそが子どもに安心を与えます。
小さなことでも構いません。「今日、ちょっとだけ起きられた」「一緒にご飯が食べられた」など、日々の小さな成長を一緒に喜べる関係を大切にしてください。
子どもの未来を信じる気持ちが、再出発への一歩になります。
まとめ|不登校でも未来は切り拓ける
不登校という出来事は、子どもにとっても親にとっても決して「終わり」ではありません。むしろ、「自分に合った生き方や学び方を見つけるチャンス」になることもあります。
通信制高校、サポート校、フリースクール、高卒認定、進学や就職…選べる道はたくさんあります。そしてそのどれもが、「自分のペースで前に進む」ことを支えてくれます。
母親としてできることは、子どもを責めず、焦らず、ただそばにいること。そして、必要な情報や支援につながるための橋渡しをすることです。
今は小さな一歩でも、未来に向けて確かな前進です。親子で寄り添いながら、再び歩き出すその日を一緒に迎えましょう。